リアル鬼ごっこ

40/40
245人が本棚に入れています
本棚に追加
/297ページ
「じゃあ電話して、誰か体育館に来たヤツがいないか聞いてみて」 「え?」 「ここからカギを持ち出したヤツの目的が体育館なら、今頃体育館に辿り着いている可能性が高い」 「あっ、そうか。分かった」 史奈がスマートホンを取り出して竜騎に電話をかけたとき、廊下から何か聴き慣れない音がした。 カシャ、カシャ、カシャ。 甲冑が擦れるような音……。 四人は息を殺して、音のする方を注視した。 『もしもしフミナ?』 静まり返った部屋に竜騎の声が響く。 さすがにこの状況では、相手に居場所がバレてしまう。史奈は慌てて電話を切った。 カシャ、カシャ、カシャ。 音が大きくなる。 チャリララ、チャリララ~~~。 静まり返った職員室に、史奈のスマートホンの着信メロディが鳴り響いた。 史奈が慌てて電源を切った時、入り口から鎧武者が入ってくる。 「来た」 孝弘が小声で呟くと同時に、後方のドアに向かって走り出し、それに釣られて全員が一斉に後に続いた。
/297ページ

最初のコメントを投稿しよう!