逃げ惑う者たち

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「あっ、待って!」 小走りで離れて行く史奈たちの背中に向かって、万里子が声をかける。 でも二人は、足を止めることなく闇の中に消えて行った。 「きっとカギだよね?」 万里子が正樹に聞く。 「たぶんね」 正樹は頷いた。 「どういうこと?」 それに対して、美穂は意味が分からなかったらしい。万里子と違って本当に頭の悪い子だ。 正直美穂の方が可愛くて、正樹のタイプだけど、この厳しい状況を生き延びるためのパートナーとして選ぶのなら、万里子の方が正解だろう。 「たぶん、彼女たちはどこかに隠れるために、その場所のカギを探しに言ったんだと思うってことだよ」 正樹は美穂に説明した。 「ああなるほど、でも、使えそうな部屋のカギは、全部私たちが持ってるのにね」 「そうだよ。だから私がそれを言おうと思って呼び止めたのに、無視して行っちゃうんだもん」 「ふ~~~ん。でもさぁ、ちょっと感じ悪かったよね?」 「それはたぶん、助かるのが2人だけって分かってるから、自分たちでカギを独占しようってことかもね」 「あ、そうだよ。じゃあ私たちもカギを持ってることはみんなには内緒にしなきゃ」 美穂は普段の可愛らしい顔とは一転、悪女の顔になった。
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