246人が本棚に入れています
本棚に追加
「二年C組の井上くんといつも一緒にいる人です!」
上から女子生徒が叫ぶ。
「おい、C組のヤツいるか?」
周囲に集まっている生徒に向かって小見山が聞いた。
「はい」
一人の男子生徒が答える。
「井上といつもつるんでるヤツって誰だ?」
「ああ、えっと、杉本です。杉本旬」
「杉本……。どんなヤツだったかな?」
とっさに顔が思い浮かばなくて、小見山は周囲を見回した。
「どんなと言われても……」
「何部だ?」
「何部と言われても……。確か帰宅部じゃなかったかと」
「そうか」
体育教官の小見山は、得てして運動能力の高い生徒は、所属部活動に関わらず覚えているが、文科系の生徒はあまり記憶していない。
「そうだ。C組の武政先生はどこだ? 武政先生いませんか!」
まず担任の武政に報告することが先だと小見山は思って、周囲の人だかりに向かって声をかけた。
最初のコメントを投稿しよう!