修学旅行

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「二年C組の井上くんといつも一緒にいる人です!」 上から女子生徒が叫ぶ。 「おい、C組のヤツいるか?」 周囲に集まっている生徒に向かって小見山が聞いた。 「はい」 一人の男子生徒が答える。 「井上といつもつるんでるヤツって誰だ?」 「ああ、えっと、杉本です。杉本旬」 「杉本……。どんなヤツだったかな?」 とっさに顔が思い浮かばなくて、小見山は周囲を見回した。 「どんなと言われても……」 「何部だ?」 「何部と言われても……。確か帰宅部じゃなかったかと」 「そうか」 体育教官の小見山は、得てして運動能力の高い生徒は、所属部活動に関わらず覚えているが、文科系の生徒はあまり記憶していない。 「そうだ。C組の武政先生はどこだ? 武政先生いませんか!」 まず担任の武政に報告することが先だと小見山は思って、周囲の人だかりに向かって声をかけた。
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