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必死で走っていたら、目の前の竜騎が突然転んだものだから、莉緒は避けようもなく躓いてしまった。
痛い。
けど、今は痛いなんて言ってられないのだ。
痛がって動けないことは、イコール死なのだから……。
すぐに起き上がろうとする横を、遥が駆け抜けていく。
マズい。遥に追い越されるということは、殺人鬼の次のターゲットが自分になるということなのだ。
「どけ!」
「うぎゃぁ」
起き上がろうとした莉緒の下腹部に鈍痛が襲うと同時に、そのまま背中から地面に倒れる。
近藤竜騎に蹴飛ばされたのだ。
でも今は、それに対して怒るよりも、一刻も早く起き上がって逃げなければならない。
「ビシャモンテンノゴカゴノモトニ……」
頭上で不気味な声が聞えた。
真っ暗な中、月明りに甲冑が浮かぶ。
死にたくない。死にたくない。死にたくない!
「いやぁああああああああああああ」
渾身の力で叫んだ莉緒の胸を、かつて体験したことのない激痛が襲い。
莉緒はそのまま意識を失った。
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