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大きな音とともに、また斜面が崩れ始める。
「おい。逃げろ!」
内村はスノーモービルに飛び乗り、すぐに発進させた。
「君も乗って!」
堀川は動ける少年に向かって叫ぶと、大急ぎでスノーモービルに跨った。
崩れて来る土砂はもう目の前。
「行くぞ!」
少年が後ろに跨ったのを確認すると同時に、アクセルをふかす。
そのすぐ後ろをかすめる様に、土砂が崩れ落ちた。
「うわぁああああ」
恐怖で顔が歪む。
間一髪で土砂崩れを回避した堀川は、まだ揺れの続く中、必死で内村の後を追った。
それにしても、さっきの斜面の穴は何だったのだろう。少し走って気持ちが落ち着いた堀川は、さっき見た斜面の穴を思い出した。
ここで生まれ育ち、何年もこのスキー場で働いているのに、今までまったく気が付かなかった。
揺れが収まったら、後で確認に行こうと堀川は思ったのだが、その直後に起こった更なる余震によって、先ほど露わになった洞穴は、また土砂の中に埋もれてしまった。
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