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「これは酷い……」
「だろう。本川地区や、川村地区はほぼ壊滅だ。こんな状況だから、消防署も対応に追われていて、ここに救急車を回せる余裕はないらしい」
「そんな……」
「とにかく雪崩に巻き込まれた学生は、俺たちで町の病院まで運ぶしかない。行くぞ」
渡部が外に向かう。
「はい」
堀川はすぐに続いた。
「おい。どうだ?」
渡部が雪崩に巻き込まれた高校生を介護している内村に声をかける」
「はい。呼吸も安定してますし、意識が戻れば」
「そうか」
「しっかりしろよ旬」
翔馬が旬の身体を揺すり続けている。
「ん、んん……。んんぅうう」
旬がゆっくりと目を開けた。
「旬! おい旬! 大丈夫か?」
「ん、んぅうう、翔馬?」
「ああ」
「何が……何があったんだ?」
旬が周囲を見る。
「地震だよ。オマエ、雪崩に巻き込まれたんだよ」
「あ、ああ、そうだ。思い出した」
「良かった。死んだかと思ったぞ」
「ああ、ごめん」
「謝らなくていいよ」
ホッとした翔馬は、そのままその場にへたり込んだ。
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