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それに井上翔馬。
今まで全く興味がなかったし、初めて香里に好きな人がいると言われて見たときに、大したことないと思ったのに、スノーボードをしている姿を見てカッコイイと思った。
香里に頼まれて、初めて話しかけたときに見せた顔は、一瞬自分に気があるんじゃないのかと思ってドキッとし、思わずその後、香里を立てるのを躊躇った程だ。
リフトで上に上がった時、香里の名前は知らなかったのに、自分の名前は憶えてくれていたのも嬉しかった。
だけど今更、香里を押し退けてしゃしゃり出るわけにはいかない。
そう思っていたら、何かを察したのか香里が肘でついてきたので、あえて大きな声で「盗るわけない」って言ったときの彼の顔。
あれって絶対に、誘ったのが私じゃなくて香里だったから、ガッカリしたんじゃないかと思う。
だからきっと、彼も私に気があるはず……。でも、これからの香里との関係を考えれば、奪い取ることは出来ないし……。
それならこのまま、香里も彼と上手くいかなければいいのだ。
朋佳の微笑みには、そんな想いも隠されていた。
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