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「なぁ翔馬。あそこ何かおかしくないか?」
旬が声をかけて来る。
「何が?」
旬の方を見ると、コースの外の斜面の下の方を見ていた。
「何かある」
「え? 何が?」
朋佳の方だったら、無視して指導を優先するところだけど、香里の方だから翔馬は旬の方に歩み寄る。
「何があるんだ?」
「いや、何っていうか……」
旬が見ている方を見たけど、特に何もない。
「どこ?」
「いや、あの辺りなんだけど」
そう言われて指さす方を見るけど、特に何かがあるようには見えなかった。
「何もないぞ」
「う~~~ん、さっきはあるように見えたんだけど……」
「そんなに気になるなら行って見てくればいいじゃん」
「えっ、でもあそこは、コースの外だぞ。バレたら怒られるじゃん」
「バレたらな。それにバレてそれが問題になったら、来年から修学旅行が通常に戻って、後輩に感謝されるんじゃねぇの?」
翔馬は軽い気持ちで冗談を言うと、そのまま香里の指導に戻った。
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