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そのまましばらく香里の指導を続けた。
最初は朋佳と比較した為にガッカリしていたけど、ずっと密着して指導していると、香里のことが可愛く思えてきた。
よくスキー場だと相手が地上の数倍良く見えるなんて言われているから、香里を可愛く思い始めたのもある種の錯覚なのかもしれない。
そんなことを思っていると、突然大きな揺れが襲ってきた。
「うわっ、地震だ!」
「イヤッ!」
香里が抱き着いてくる。
翔馬はそれを受け止めきれず、勢いのまま雪の上に倒れこんだ。
結構大きな揺れが、収まることなく続く。
「怖い」
ギュッとしがみついてくる香里を、思わず抱きしめていた。
ようやく長い揺れが収まり、翔馬は体を起こす。
「大丈夫?」
香里と朋佳が青ざめた顔で頷いた。
「旬、大丈夫か?」
旬がいた辺りを見るが、誰もいない。
「おい!」
翔馬は焦った。
今の地震で、コースとコース外を示すロープの外側が崩れ落ちている。
旬が巻き込まれたかもしれない。そう思った翔馬は急いで旬のいた辺りに向かった。
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