第十一章 時魔導士カメリア

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 「鉱石の種類にもよるんだが、まずは君が持っている魔法剣。その赤い魔法石はなかなか珍しいものだろうなぁ。武器に使う鉱石はそれほど詳しくないが、杖にも優れた原石に優れた精製が施されれば魔法力が上がったりする。これは結界に向いている石だな。しかし本来結界に使う石は緑色の鉱石をよく使っている。紫色のものはとても珍しいな。ちなみに結界師が使う石と教団がモンスターを作る時に使う材料は同じ種類の石を使うんだ。精製方法は違うから極端な話をすれば教団側の石を全て結界師用の石にしてしまえばモンスターを作ることはできなくなるだろうね。いや、厳密には別の用途に精製されていても使う手段はあるかもしれないが、それでも難しいから無理だろうなっていう意味でね。ただ、今はどっちも同じ緑の魔法石を使ってるから結界師はモンスターを防げているんだが、この石が教団に渡ってしまえばどうなるかはわからない。今の段階では結界師にとっては無駄に貴重な石かもしれないけどよく調べておいた方が良いと思ってね。既に教団側にこれと同じ石が渡っているかもしれないからね。というわけで、あとで手紙を書いておくからそれをセブンハマーの軍の関係者に渡しておいて欲しいんだ。ああ、時魔導士カメリアの護衛の件で城に行く時にでも渡してくれるといい。そうだ。君達の功績を讃える文章もついでに書いておくとしよう。」  宿主は顔を上げるとにっこりと微笑んだ。  山はすっかり夜の闇が包み込み暗くなっていた。宿主はテーブルの上を片付けて鉱石を小屋の中へ持っていった。ハヤトも自分の部屋へと向かった。時折、遠くで狼が吠えているのが聞こえている。  部屋に戻るとゾーイもボブも寝入っていた。アマモは起きているようだが黙ってじっとしている。だいぶ元の形に戻って入るが頭部にはまだ車輪の跡が残っている。ハヤトはベッドに入り、そんなアマモの頭をなんとなく眺めているといつの間にか眠りに落ちていた。  翌朝ハヤトが目を覚ますとアマモの体は元通りになっていた。宿主が用意してくれていた朝食を皆で頂く。食べ終え身支度を済ませると宿主が声をかけてきた。
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