第十八章 それぞれの夜明け

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 実は人見知りのゾーイは一人で気楽にできそうだと考えて了承する。再びその場にいた皆が拍手したり激励の言葉をかけたりして場が和んだ。  時魔導士ゾーイが話を終えたのを確認すると今度はセバスチャンが二人に向けて語り始めた。  「実は先程から先代の時魔導士ゾーイ様がエリア5に常駐しなくても良いと強調してお話をされたのには理由があるんじゃ。この度のことがあって結界師はあらたな結界の研究を始め、魔法石を精製するためにわしの息子や前の市長にも来てもらうことになった。魔法石の精製する方法は無事に確立することに成功した。完成するにはまだ時間はかかるがこれで教団が今回のドラゴンのように別の鉱石で作ったモンスターでも破ることができない結界を張ることが可能になる。その魔法石に昨日手に入れた鍵を粉末状にして微量を加えればこれまでの装置でも作動するのがわかった。わしにはその権限はないのだがこれらの産物を世界中の様々な場所にいる結界師へ渡しに行くという役割を任されてみてはいかがだろうか。もちろん全部というわけではなくて教団やモンスターの脅威によって届けにくい場所じゃ。既に魔法石と金属を管理している、ここにおられる元市長にも話がついておる。聞くところによるとボブは世界のどこかに飛ばされて今も生きている可能性もあるようだ。ボブの手がかりを探すためにもうってつけの案件だと思うがどうかな?」  ハヤトとゾーイはお互いに顔を見合わせてボブが生存している可能性があると聞いたことで宿主の提案に即答して承諾した。その二人の様子を窺ってカメリアが口を開いた。
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