第十八章 それぞれの夜明け

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 「詳細はあとで話すつもりだったけど、この場にいる皆さんは信用できる人たちだから言うわね。私達が大司教のいる塔の最上階に潜入した時、色んな書類が置かれてあったでしょ。その中で気になる文章が書いてあったのを思い出したの。地下牢にいるグレッグにも聞いたところによると教団は何らかの理由で魔物使いの研究を始めたらしいの。その文書には教団の施設であるエリア10の中に魔物使いを集めて研究するための施設を造ったというようなことが書かれていたの。死ぬ間際の大司教のうわごとは聞き取れなかったけど魔物使いである自分の代わりにボブを何かの手段でそこへ移動させたと考えることができる。そのことを泣きじゃくってるシーラに話していたらここにいる結界師の人たちにも聞かれてしまって。私はこの街から離れるつもりはないから二人で行ってみたらいいんじゃないかと思って話を勝手に進めちゃってたんだけどね。」  話を聞いていた元教団員のブライトがエリア10について語った。  「エリア10といえば広大な砂漠が占めている地域です。あそこで結界を張っているのはごく一部に限られていると思いますがそこへ届けるのは危険が伴います。それゆえハヤトさんの任務に適した優先すべき場所だと思います。そこにボブさんがいるかもしれないというのは偶然なのか運命なのか不思議な縁を感じますね。」  その後はカメリアの両親が姉妹の幼少の頃の話をして盛り上がったり宿主とその息子の思い出話や海の向こうでの出来事など他愛ないが楽しく充実した話題が続いて会食は終わりを告げた。笑顔で手を振るシーラを見てゾーイは脈があるかもしれないと考え直して元気になった。  皆それぞれ帰っていったがカメリアが二人を呼び止めた。カメリアはグレッグに会うために地下牢へ行こうと言った。ハヤトとゾーイは言われるままにカメリアに付いて行った。
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