千年前から見つめていた

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これで最後、と思いチャペルををひと回りすると、後ろの座席の足元に、きらりと光るものがあった。 見ると、それは真珠のイヤリングだ。 私は手を伸ばして拾いながら、無線機のスイッチを入れる。 「チャペル右後方席、パールイヤリング1個落とし物です。ゲストにご確認ください」 「了解」という、いくつかの声が聞こえた。 チャペルの窓越しに中庭を見下ろすと、ガーデンパーティはまだ始まったばかりのようだった。 人なみが揺れて、ざわざわとさざめきが広がっていく。
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