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そんな私に彼はほんの少し、気弱そうな笑顔を見せた。
このひとはいいひとなんだろうな。それを見て私は何となく、そう思う。
いいですか、と言ったくせに、彼は私にあらためて背を向けて、パーティを見下ろした。
音楽とざわめきと笑い声と、花と涙と笑顔と。
この世の中の美しいものと楽しいものがすべて、あそこにはある。
彼の背中の向こうに、半分暗くなった海が見えた。
そろそろ篝火が灯される頃だろうか、とぼんやり思った時、私に背中を向けたまま、彼が静かに言った。
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