千年前から見つめていた

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「幼なじみなんですよ。……彼女と僕」 その声の寂しげな響きにはっとして見上げたけれど、彼の背中は動かなかった。 そのままゆっくりと中庭へ視線を落とすと、白いドレスの花嫁は、友人たちと楽しげに写真を撮り始めている。 「親が同じ会社で、社宅だったんでけっこう子供がいて。兄妹みたいに育ったんですよね」 少し、間があった。 私は、聞いています、と言う代わりに小さく、はい、と言った。
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