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「僕が中学3年の時に彼女も転校してしまって。……よくある話なんですけど、いなくなって初めて、自分はあの子が好きだった、って気がついた……」
彼は私に背中を向けたまま、シャンパンの細いグラスを傾ける。
そして煙草はいつの間にか、携帯灰皿の中に消えていた。
ぱち、と小さな音がした。
「そして5年後に、僕たちは再会した。再会して僕は思ったんです。これは運命だ……ってね」
彼は少しだけ振り向き、笑えるでしょ、と呟いた。
その笑顔に誘われるように、私も思わず微笑み返す。
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