千年前から見つめていた

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営業的にも、たぶんここは笑うところだ。 「なぜそう思ったのかわからないけど……でもこれは運命なんだ。そうなんだ……って思いこんで」 唐突に言葉が途切れ、私は彼の背中を見つめた。 わあっ、というざわめきが中庭から上がり、ちらりとそちらへ目をやると、何人かの若者たちが新郎新婦を囲んでいるのが見えた。 彼も、それを目で追っているのがわかる。 「でも、その時もう彼女は、あいつと付き合ってた」 ゆっくりと振り返った彼はふう、と小さくため息をついて、それでも私に笑ってみせた。
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