34人が本棚に入れています
本棚に追加
営業的にも、たぶんここは笑うところだ。
「なぜそう思ったのかわからないけど……でもこれは運命なんだ。そうなんだ……って思いこんで」
唐突に言葉が途切れ、私は彼の背中を見つめた。
わあっ、というざわめきが中庭から上がり、ちらりとそちらへ目をやると、何人かの若者たちが新郎新婦を囲んでいるのが見えた。
彼も、それを目で追っているのがわかる。
「でも、その時もう彼女は、あいつと付き合ってた」
ゆっくりと振り返った彼はふう、と小さくため息をついて、それでも私に笑ってみせた。
最初のコメントを投稿しよう!