千年前から見つめていた

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ほら、こんなところが気のきく男なのだ。 そして板倉はたぶん、私がここから見ていることに気づいていて、それを隠そうとしない。 私はひとつ、ため息をついた。 ふと気づくと、バルコニーの左奥、ちょうど中庭の樹木がこんもりと繁るあたりに、男性が一人、立っているのが見えた。 バルコニーの手すりに手をつき、海を見ているのか、パーティを見下ろしているのかはわからない。 細く白い煙が見えて、彼が煙草を持っているのがわかった。
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