千年前から見つめていた

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「あ、ここ、駄目な場所でした?」 右手の煙草を軽く掲げられて、いえ、と微笑む。 「何か、お飲み物をお持ちいたしましょうか?」 こんな所に1人でいるのは少し不自然……だと私が思っていることなんて、ゲストに悟られてはいけない。 彼は、そんな私の思惑など全く気にしていない様子で、少し身体を退いてみせた。 「大丈夫です……ほら」 見ると、バルコニーの手すりの上に、半分ほどシャンパンの残った細いグラスがある。 私はもう一度、にっこりと笑ってみせた。
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