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「……失礼いたしました」
軽く頭を下げて踵を返そうとした私に、彼は遠慮がちに言った。
「あの……少し、いいですか?」
ちらりとパーティに目をやった私にそのひとは、「あ……お仕事中、ですよね」と、申し訳なさそうな顔をした。
基本的には、お客さまの申し出にNoを言わない。これはスタッフとしてのモットーでもある。
私は、瞬時に営業用の笑顔に戻した。
「いえ……大丈夫です」
正確に言えば、今日私はサブグループなので、済ませたばかりのチャペルの見回りで仕事は終わりだ。
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