第1話

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『藤原さん、藤原菜々海さん。 一番の診察室へお入りください』 診察室の中に入ると、40代くらいの ダンディーな医者がパソコンの画面を 見ている。 おそらく、カルテなんだろうけど。 『こんにちは、お願いします。』 『はい、どうぞ、お掛けください。 産婦人科医の山口です、よろしく。 …………さて、今日は生理がこないと 言うことですが、妊娠の心当たりは?』 『ありません。』 『不正出血もあるようですね。 痛みは伴いますか?』 『痛みも、ありません。 ただ、生理が来なくて、生理じゃない 出血があるだけです。』 私がそう言うと、医者は顎に手を 持って行き 『んーと、では採血と、あとは一応 お腹の中エコーで診てみようか。 若いから癌は考えにくいけど… 一応がん検査も、しとくか…な。』 『はい、お願いします。』 『じゃあ…3番の部屋の前で待ってて ください。お呼びしますから』 “ はい ” そう言って、診察室を 出ようとしたその時―――。
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