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『藤原さん、藤原菜々海さん。
一番の診察室へお入りください』
診察室の中に入ると、40代くらいの
ダンディーな医者がパソコンの画面を
見ている。
おそらく、カルテなんだろうけど。
『こんにちは、お願いします。』
『はい、どうぞ、お掛けください。
産婦人科医の山口です、よろしく。
…………さて、今日は生理がこないと
言うことですが、妊娠の心当たりは?』
『ありません。』
『不正出血もあるようですね。
痛みは伴いますか?』
『痛みも、ありません。
ただ、生理が来なくて、生理じゃない
出血があるだけです。』
私がそう言うと、医者は顎に手を
持って行き
『んーと、では採血と、あとは一応
お腹の中エコーで診てみようか。
若いから癌は考えにくいけど…
一応がん検査も、しとくか…な。』
『はい、お願いします。』
『じゃあ…3番の部屋の前で待ってて
ください。お呼びしますから』
“ はい ” そう言って、診察室を
出ようとしたその時―――。
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