第3話  

3/30
前へ
/241ページ
次へ
頭の中から消してしまおうと 何度も思った。 …でも、10年振りに思い出した 彼の事をそう簡単に消すことなんて できなくて。 むしろ、会ってもいないのに 偶然に偶然が重なり過ぎて 忘れる事なんて不可能になっている。 そして不思議なことに 思い浮かべるのは、あの頃の 石崎君ではなく石崎医師の顔。 すると、 得体の知れないこの気持ちから 目を覚ませと、言わんばかりに 着信を知らせたのは 藤原章斗。 この時間に夫からの着信なんて 珍しいと思いながらも 通話の画面をタッチした。
/241ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2533人が本棚に入れています
本棚に追加