第3話  

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私はそっとスマホを耳にあてる。 『………はい。』 『あ、もしもし菜々海?俺だけど。 今夜後輩二人連れて帰るから 何か適当につまめそうなの作っておいて。 悪いな、急に…。』 そう言う夫は、いつもの冷徹な 感じではなくて… しかも名前を呼ばれたのなんて 何年振りだろう。 『あ、うん、わかった。』 とりあえず、私は了解の返事をした。 『わるいな、よろしく。』 そしてそう言って電話を切った夫。 ……なんだろう、、、。 夫がいつもと違うのは明らかで。 そして誰かを家に呼ぶなんて 初めての事。 だけど今までの冷徹な夫も知っている 私は、あまり期待をしないようにと 自分の中の何かの高鳴りを 抑えることに精一杯だった。
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