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すると突然、
『お手洗い貸していただけますか』
と、朱里さん。
私はトイレの場所を案内しようと
立ち上がろうとした、その時。
隣に座る夫の手が、私の肩に置かれた。
そして、
『菜々海は、ゆっくりしてて。
俺が案内してくるから。』
そう言って席を立つ夫。
『うん、お願いします』
私はそう、返事をした。
今思えば、いくら初対面でも
女性のお手洗いくらい
同じ女として私が行くべきだったのに
この時どうして、
不信感だらけの夫に任せてしまったの
だろうと、後悔した。
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