第3話  

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すると突然、 『お手洗い貸していただけますか』 と、朱里さん。 私はトイレの場所を案内しようと 立ち上がろうとした、その時。 隣に座る夫の手が、私の肩に置かれた。 そして、 『菜々海は、ゆっくりしてて。  俺が案内してくるから。』 そう言って席を立つ夫。 『うん、お願いします』 私はそう、返事をした。 今思えば、いくら初対面でも 女性のお手洗いくらい 同じ女として私が行くべきだったのに この時どうして、 不信感だらけの夫に任せてしまったの だろうと、後悔した。
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