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 呂瑁が棟梁の呂家軍は元々『廉』の東の隣国『涼』の軍閥で、長きに渡り、涼軍の先鋒として、『廉』の名将劉哥来(リュウカライ)と激戦を繰り返してきた。  闘いの中で、父、呂瑁と劉哥来は互いを認め合い、いつしか二人の間には命を賭してぶつかり合った者同士の友情が芽生えた。 劉哥来は父に『廉』に帰順するように勧めた。 父はそれに応じ、『廉』に帰順した。 父も兄二人も口を揃えて言う。 『涼』という国には深い闇がある、あれ以上『涼』に居たら、呂家軍はその闇に取り込まれてしまっただろう、だから劉哥来に応じた、と。 『涼』は今も昔も凶猛な軍事国家だ。  『廉』に帰順した日から、16年。 呂舜に『涼』に居た頃の記憶はない。 しかし、兄達は『涼』に居た頃の苛烈な記憶が鮮明に残っている。 「お前は素直で、とても良いな、舜」 父が言った。 「寧も虎も、幼い頃からしなくても良い我慢をしてきた。それ故、どこかが屈折している」  呂舜は無言で歩き続けた。
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