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元より生活できる、理想的なサイズで生まれてくるのだ。
あえて言うなら、成長は親から与えられるデーターで変わってくるのだ。
僕はそんな、ヒトモドキの御伽噺をずっと聞き続けたのだ。
それなりに数日間楽しかったのだ。
母に、ヒトモドキを見つけられるまでは。
母の顔はそれを見つけた時に恐怖に引きつった顔をした。
「アンタ、それがどんな物か知ってて飼っていたの?
それは、悪魔よ。それを拾った物は不幸になるの!
本当に、アンタって子は。幼い頃からおかしな子だったわ。
アンタは、粗悪品よ。不良品だわ!」
母は言ってはいけない言葉で僕を罵倒した。
気がついた時には、僕は母の顔を殴りつけていた。
母の顔は思わぬ僕の反撃に断末魔の表情を映す。
断末魔ってこんな表情なんだ。初めて見たよ、母さん。
綺麗だよ。でもさようなら。
僕は徹底的に母を破壊した。
そんな僕を、ヒトモドキは恐怖の表情で見ていた。
「君も綺麗だ。ずっと僕をそんな風に見ていて欲しいな。」
僕は初めて生きたままのヒトモドキに注射をして殺した。
「目は閉じないでね。僕はずっとその恐怖という表情を見ていたいから。」
無理やり閉じそうな目を接着剤で閉じないように固定しておいた。
僕はヒトモドキにうっとりと見とれていたが、現実に戻った。
「あ、母さんを処分しなくては。」
僕らには太古の人間にあった、墓という概念はない。
近所のリサイクル施設にこっそり忍び込み、スクラップになった母さんを
溶鉱炉に放り込んだ。
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