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「麻里!そんな高いものどうしたんだ?」
とある日の休日、俺は遊びに行くと言う麻里を見かけ、その手にある高校生にはいささか不釣り合いなブランド物のバックにが目に入り尋ねた。
「……別にもらったんだよ」
麻里はけだるそうに答え、目も合わさず出て行ってしまった。
麻里に少し苛立ち、むしゃくしゃした気分を発散したくなり、俺はスマホを取り出して、SNSで女の子を探した。
すると近間で「リリ」と言う高校生の女の子が捕まった。
支度をして、待ち合わせ場所が見えてきた時に冷や汗が出た。
何故なら、麻里がそこに居たからだ。
何でここに。
そう思ったがここは待ち合わせとしてはよく使われる場所だ。
きっと彼氏でも待って居るのだろうと思ったが父親が娘と同じくらいの子と歩いているのも、ましてや援助交際をしてるなんて知られたくない。
今日はやめておこうか……。
そう思った時に、麻里が俺に気が付き露骨に嫌な顔をしたのが分かった。
出来ればこのまま帰りたかったが、目が合って無視するわけにもいかない。
「誰かと待ち合わせか?」
「別に誰でも良くない?」
予想通りなのだが、そっけない返事がきた。
麻里の興味はスマホに移り目の前で操作を始めた。
その時、俺のポケットに入ってたスマホの通知音が鳴った。
恐らくリリだろうと思い「まぁお父さんは帰るから気を付けるんだぞ」と言って逃げるように麻里を背にして、リリに今日はやっぱり辞めようと連絡をしようとし、スマホのメッセージを受け取った。
【今どこですか?私は黄色のTシャツにショーパンです】
目を見開きその文面にゾっとした。
俺は、その恰好をしている女の子を知っている。
娘の麻里が、その格好だった。
「リリは……麻里」
黙っていればいいのに、驚きのあまり俺はつい声を出してしまった。
麻里に、聞かれた。
麻里は顔を上げ、走り寄り俺からスマホを取り上げ画面を見るとその顔はみるみると青ざめた。
俺の家庭は、人生が音を立て崩れていく
これからの事を考えると死にたくなった――
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