第1章

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五穀米にミニハンバーグ、春雨入りのスープにアボカドとえびのサラダと、とても女の子らしいヘルシーな献立だった。 「これ全部由亜が作ったのか!?いただきます!!」 『そうだよ。召し上がれ。』 テーブルの向かい側に座ってそうホワイトボードに書いた娘はガスマスクのまま。 「ガスマスク外さないの?」 禁煙すると約束したのに何故だろうと思い、訪ねる。 『今日はダメ。パパの持ち物とかリビングの壁とかに臭い残ってるから。明日ママと3人でお掃除してから外す。』 成る程、抜かりない。 「……そっか。由亜の顔が見られないのは寂しいから、明日は早起きして掃除しような。」 『うん。』 書かれた返事を確認して、ハンバーグを一口食べた。 「美味い!!」 愛娘の手料理だ、多少贔屓目はあるかもしれないがとても美味しい。 『でしょ。お豆腐入れてカロリー少なくしたから、少し多く食べても平気だよ。』 娘も体型を気にする年頃なのは知っていたが、料理のカロリーまで考えていたとは。 我が娘ながら、年々健康診断の数値が悪くなりつつある僕よりきちんと節制できていて、頭が下がる思いだ。 全体的に味付けは薄めだったが、娘からの、今から気を付けていかないと将来メタボになるという文字にぐうの音も出ず食べ進める。最初は少し薄く感じた味も食べ終わる頃には程よく感じられ、美味しく完食した。 「ご馳走さま。」 そう娘に告げれば、僕が食べている間に書いていたらしい文字が素早く出される。 『片付けは私がやるから、お風呂どうぞ。』 何から何まで娘に任せきりは申し訳なかったが、今日は帰ってきてからどっと疲れたので、娘に礼を言って有り難く言葉に甘えることにした。
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