気づいてしまった

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子供の頃、早生の面倒を見てくれたのは家政婦の女性だった。母はいたが子育ても家事もせず、ただ穏やかに微笑んでいた。 「あの人は、私の顔が好きなんですって」 嬉しそうにそう言った母は、確かに家族の――息子である早生の贔屓目を差し引いても、美人だった。 ゆるやかに波打つ長い髪に、アーモンド型の瞳。
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