シムラ観察日記①

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自分の手元の紙の捲れる音にリズムが出てきた頃、フロアの中央の通路をガツガツ歩く足音に集中力は途切れた。 誰だよ…… 顔を上げて辺りを見渡せば、営業マンがシムラの肩を叩くところだった。その様子から声は聞こえなくても二人が親しいのが伝わる。 伝票に目を向けたけれど、もう一度隣の課の島に目がいく。 わたしにだって 笑ってくれてもいいじゃない…… 私はシムラを見てるのに。 私だけが見てるみたいじゃない…… 席を離れて気分転換したいのに。 ねぇ、シムラ。 何の話をしたら、八重歯を見せて笑うの? ねぇ、シムラ。 あの日、アルバムの2曲目が好きだって言うから…… あの曲を聴く度に、シムラを想うのよ。 ねぇ、シムラ…
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