とびきり熱い氷のように。

濡れつづける。

親が離婚したのをきちんと理解できたのは小学生になってからだったな、そう思い出しながらお客様である人に声をかける。

「いらっしゃいませ」
笑顔でも、声は大きくしすぎずに。

ここには大きな声は必要がないから。

あたしは今、パパの許しをもらってアルバイトをしてる。
喫茶店と嘘をついて、お酒を出すバーで。

大学生になっても過保護なパパだけど、あたしは大好き。

けれど、あたしは恋を知ったから。

恋かはわからない。
ほんとうは、わからないけど。

いけない、アルバイト中だった。
お客さんに注文を聞かなくちゃ。