2章「再開は憎しみ」

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すると指の先から光の線が一瞬一直線に出る。 「新人の兄さんまし。やるまし」 どうやらモナコさんは褒めているらしい。五人ぐらいの白いスーツの者達が倒れた。 「まさか最初からモナコよりも強い技が出るとは恐ろしいね」 「強い技?」 「漢字が多ければ多いほど強い。さっきのモナコの技は『赤』と『弓』。君は『雷』と『銃弾』。熟語になればなるほど威力と速度が増す」 「他にはどうすれば技が出る」 「あるけどもう少し術を使い慣らさないとね」 そのときだった。白い輩は剣を取り出し始めた。 「あれに対応できる技は?」 「剣を扱える者ならできる技がある……あぁ。あの子がいたら一番よい見本見せてもらえるんだけどね」 「あのバカ女は死んだましよ」 「そうだった。モナコには禁句だったね。でも、どうしようか。このままじゃ……」 黒い大きな盾と共に目の前に黒い浴衣の女の子が立つ。 「黒壁盾(BBS)」 エレベーターで会った子だった。 「あんた……死んだんじゃないのまし?」 「これ……渡しに来た」 彼女の指から飛ばされた黒いコインがコイトスの前に転がり落ちる。そのコインには『D』という文字があった。 「あれ?谷本百合のTでも王茂子子のOでもない」と尋ねてみた。 「この文字は死んだことを表す「D」だよ。モナコのコインの裏面に何も書かれてなかったのはこのためだよ」 死んだ?目の前にいるじゃないか? 「じゃあ、何で黙ってうちらの組織から逃げた彼女がいるまし?」 「こればかりは僕にはわからない」 「私が選ばれたから……神(ゴッド)にね」 コイトスとモナコさんの話の間に彼女が割りこむ。コイトスは地面に落ちたコインを両手で裏返しにする。そこには「G」と書かれていた。 「王茂子子のOに谷本百合のTが重なって神となるGになったというわけか。じゃあ君は一体……」 「助け……」 彼女が言い出したときにモナコさんが怒りを露わにして言う。 「帰ってまし。あんたは私たちの最大の敵かもまし。次会ったらただじゃおかないからまし」 谷本さんは悲しそうな顔をした後、壁沿いを歩き左に曲がって壁の中に消えた。それと同時に黒い壁が消え白い輩たちが倒れ込んでいた。お面がずれたら人間の顔をしていたが、目玉は一つしかなかった。 モナコさんと谷本さんの関係。さらに神という名のコイン。一体、このコインに何が……。
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