第二章

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 そっとドアを開けると、どうやら両親はすでに眠り、階下も静まり返っているようだった。音を立てないように階段をおり、兄のいる和室から光が漏れていないことを確認すると、リビングにいき、テーブルの上でサランラップをかぶっている夕食を見つけた。  ダイニングの電気をつけると、母の字で「起きたら食べなさい」と書かれたメモを見つけた。詩子が夜中に目を覚ますことを予想しての親心だった。  詩子はイスに座ると、冷たくなった唐揚げをつまんだ。食欲が刺激されて、残っているサラダと唐揚げと和え物を食べ始めた。おいしいと思った瞬間、なぜか涙がこぼれてきた。  詩子は鼻をすすり、涙がこぼれるままに母の手料理を食べ続けた。
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