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にっこり笑ってそう云われ、完全に誤魔化されてる。
……あの笑顔が、完璧な作り笑顔だって知らずに。
「……高科先生はわざわざ、私の英語、みてくれてるんだし」
「俺がみてやるからいいだろ」
「……」
……私の英語の成績は、壊滅的だ。
赤点なんて当たり前。
追試も合格できないし、一年のときは先生が出す、山のような課題をこなしたら進級させてやる、そう云われて泣きながら、陸哉にも迷惑かけてなんとか留年は免れた。
二年になって海翔先生が赴任してきて、私の成績をどうにかしようとずっと個人的に教えてくれてる。
「……でも。
陸哉は委員長の仕事とか、生徒会の仕事も忙しいし」
「それは高科先生も同じだろ?
あいつだって仕事外で妃菜子の勉強、みてる」
「……でも」
「なに?あいつじゃないとダメな理由があるの?」
窓際の席なせいで、背中には窓。
開いた窓からは運動部のかけ声が聞こえてる。
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