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「……ねえ。
僕のこと、好き、でしょ」
冷たい銀縁眼鏡の、先生の口端が僅かに上がる。
その顔を私は間抜けにも、唇を半開きで見つめていた。
「……」
そっとふれた先生の長くて綺麗な指が、私の顎を持ち上げる。
……放課後の英語科準備室。
聞こえてくる、運動部のかけ声。
静かに響く、吹奏楽部の音楽。
僅かに笑った、レンズの向こうの瞳に、視線は逸らせない。
少しずつ近づいてくる先生のその瞳をじっと見つめてた。
もうすぐ、唇がふれる……。
「……ねえ。
どうして目、閉じないの?」
くすり、私から離れた先生が笑う。
途端に頬に上がっていく、熱。
「今度はちゃんと、目、閉じてね……」
再び近づいてくる先生の顔に、目を閉じかけた……とき。
コンコン。
「ノート持っていくだけで、どれだけ時間かかってるんだ?」
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