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私を包み込む、慣れ親しんだいい匂い。
「……海翔先生」
「……あたり」
そっと手を添えて海翔先生の手をずらしたら、そのまま下に降りてきてぎゅっと抱きしめられた。
「……ヒナはいい匂い、するね」
後ろから髪にうずめられた海翔先生の、顔。
「……生徒じゃなかったら、ここに何度も口づけして」
海翔先生の指が、そっと私の首筋を撫でる。
「……他のところにも何度も何度も口づけして、僕のものだって印をつけるのに」
「……っ」
何度も何度も、首筋を丁寧に撫で上げる海翔先生の指に声を押し殺す。
そのうち、顎に手がかかって後ろを向かされた。
私を見下ろす、海翔先生の瞳。
シルバーの眼鏡は冷たいのに、その奥の海翔先生の瞳は……熱を帯び、私を溶かす。
「……今日こそキス、しよっか」
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