恋敵眼鏡Brothers

8/13
前へ
/13ページ
次へ
海翔先生にじっと見つめられると、目を逸らせなくなる。 まばたきすら忘れて、その茶色がちで綺麗な瞳をレンズ越しにじっと見つめていた。 「……唇開いて、物欲しそうな、顔」 そっと頬にふれた、海翔先生の手の親指が、私の唇をなぞる。 ゆっくりと先生の顔が傾きながら近づいてきて、目を閉じた……瞬間。 ガラッ! 「妃菜子、帰るぞ!」 あーあ、残念。 小さくそう呟いた海翔先生が、離れる。 「ノックする、という礼儀を知らないのかな、君は?」 唇は綺麗な形で笑ってるのに、目が笑ってない海翔先生。 「ノックされなきゃ困るようなこと、学校内でやってる方が問題だと思いますが?」 笑顔なのに、体中から冷気を発してる陸哉。 バチバチと音が聞こえる気がするのは……気のせい、かな……? 「帰るぞ、妃菜子」 「……うん」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加