田中英樹の場合 その1

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~門前~ 流石に門に猛スピードで突っ込むほど馬鹿じゃない。 ちゃんと門が見えてくる前で止まった。 「すみませーん。 中に入りたいんですけど。」 「あぁ、身分証を見せてくれ。 にしても変わった格好だな。」 み、身分証だと!? まさかそんなものが実装されてるとは予想外だ。 どうしようかきょどきょどしていると、門番の人が話しかけてくる。 「兄さんもしかして迷い人か?」 「迷い人?」 「ああ、異世界の人間ってことだ。 たまに現れるんだよな。 俺の先輩は5人ほど会ったことがあるって話だったぜ。」 転生者は僕だけじゃなかったのか。 少しショックだが、まああのドジそうな神様だから仕方ないか。 「そうなんです。 僕異世界から来たばかりで。」 「じゃあこの水晶に触れてくれ。 ・・・うん。問題なしだな。 なら入っていいぞ。それからこれは餞別だ。」 「ありがとうございます。 ところでその水晶って何なんですか?」 「これは犯罪者が触れると赤くなるんだよ。 それと袋の中には銀貨が5枚入っている。 確かほかの迷い人いわく銀貨1枚で1万円だったかな。」 ということは5万か。 なかなか太っ腹だな。 「その金があればしばらく生活できる。 ほかの援助はないのであしからず。 あとは自分で仕事を探せ。 困ったら冒険者ギルドに行けばいいと思うぞ。」
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