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栄「お前は何なんだ?」
「私は『お前』ではありません。」
栄「だいたい、俺も感電したんだからな」
「大丈夫。加減したから静電気程度でしょ。」
栄「あぁ、そうですかキミが本気を出したら
ボクは丸焦げで死んでたところで──
あ、地震だ。」
ゴー、カタカタ・・・・カタカタカタカタ・・・・・・・・
栄「多いな地震。」
「もっと多くなるわ。」
栄「え?何で?」
「いま『爆震の種』を蒔くのは
悪い人たちだから」
栄「バクシンの・・・??何だそれ?」
「人工地震よ。知らないの?」
栄「人工地震!?」
緋色「千代、地上は何も知らないのよ。」
千代「緋色、地上は宣戦布告も知らないの?」
栄「宣戦布告!?!?」
千代「そう。日本はいま、戦争中だということよ。」
栄「日本が戦争中とはどういう事だ?
テレビでは何も言ってなかったぞ。」
千代が小さくボヤいた。
千代「日本は本当に『平和の国』なんだね。」
千代は一瞬、緋色と顔を見合せこう言った。
千代「あなたには知る権利がある。」
栄「・・・お、おう。」
千代が静かに語り出した。
千代「冷戦って、知ってる?」
栄「言葉くらいは。」
千代「大国同士の意地の張り合い。
アメリカとソビエトを主とする東西冷戦で、世界が核戦争の危機に直面したときの事なんだけど、その副産物として
宇宙開発競争をしたのはよく知られているわよね。
スパイ衛星、有人飛行、月面探査。
その時、日本は静かに世界破滅の危機と、科学の発展を遠くから眺めていたのではないの。
核攻撃の恐怖、抑止力の為の核武装が許されない中、
日本は『爆震の種 計画』を発動。
世界破滅の恐怖に人類が畏縮し、
米ソ両国が競って宇宙を目指しているときに、
日本は地下を目指したのよ。
過去に噴火した海底火山を掘削、マグマ溜まりの部分を利用した地下基地を建設して
そこから地殻突破することを志したの。
結局、地下基地が完成した頃に冷戦は終わったけれど、
『爆震の種 計画』自体は将来的に有効性があると判断され継続、
ついに、日本は地殻を突破したわ。」
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