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これは1ヶ月ほど前に俺たちが使った車で本当に起こった話です。
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「ねえ、この車、なんか変じゃない?」
「って何が? ぜんぜんわかんねえけど」
「……ほんと? なんかほら、変な音聞こえるし。気持ち悪いっていうかさ、」
「ああ、それはあれだよ、俺らの前に他の人乗ってたからだろ。ゴミも少しあったし。てか変な音なんて聞こえないけど?」
「耳悪いんじゃない? なんか人がいる気配がするもん。なんで? この車レンタカーでしょ? レンタカーとはまた違う気がする」
「や、違う。カーシェアリング」
「なにそれ」
カーシェアリングとレンタカーの違いを美甘子(みかこ)に説明しながら俺たちは予定していたドライブへと出掛けた。
ガソリンはインプティー前ですっからかん。
禁煙車なのにたばこ臭い。臭いを消すためか、すべての窓が少しずつ開いていた。
紙屑などのゴミが下やシートに落ちていて、マナーのひとつも守られていなかった。
普通のカーシェアリングの料金よりもかなり安い料金だったのでそれは仕方の無いことだった。
だいたいどこも12時間パックで7、8千円くらいだけど、俺が借りたところは12時間パックで3千円だった。
しかも連絡は全てメール。向こうは名前すらも名乗らなかった。
この車も路駐されていたし、返却時は近くの大型スーパーの駐車場に停めてくれと指示された。
この時点で怪しいと思ったが、なんせ安月給な俺としてはとりあえず有りがたかった。海へドライブへ行って戻ってくるだけだ。
あとはこっちへ帰ってきて適当なところで飯でも食ってそのあとはラブホテルでも入ればいい。
そんな予定を立てていた。アレを見るまでは。
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