成瀬亜子1

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姉は大手の製造販売会社で働いている。 高校を卒業と同時に都会の大手の企業に就職し一人暮らしを始めた姉は、親にとっては親孝行者でしっかり者の自慢の娘だと思う。 一方の私は子どもの頃から人見知りで口数も少なく無愛想。 可愛いフリルのついたお洋服。 ロングのツインテール。 お人形さんみたいね、と言われてにっこりと笑顔を浮かべる姉。 Tシャツにデニムのスカートや黒いスカート。 地味な服に、肩にかかる程の長さのパサパサの髪の毛の私。 可愛い服を親が買ってあげると言っても、着たくない、動きやすい服の方が落ち着くからこのままで良い。 そう言う私に対する母の口癖は「あんたも少しはお姉ちゃんを見習いなさい。女の子は可愛げが大事なのよ。」だった。 私は外国の文化に興味があったが、入りたい学部が地元には無かった為、東京の大学へと進学したいことをおずおずと親に伝えた時でさえ、あんたみたいな性格の人間が都会でやっていけるのか? と散々心配されたものだ。
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