第1章

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その子は街を縫うようにしてかけて行く。 そうしてまたあの海が見える近くへ来た。 海はふらふらと波を送っている。 その子はそこまで来て、ぺたんと尻をつけるようにして座った。 私はどうすればいいのかわからなくなって立っていた。 その子は「一人じゃ寂しいからね」と言った。 私はなんだ、それ。と、思った。 私を連れてきたのはやはりそんなに深い意味はなかったのだ。 しかし私はまだどうしようもできなかった。 そうして、私もどっかりと地面に座り込んだ。 その子は「学校どこ?」と聞いてきた。 「別に」私はそんなことを言った。 言ってから、自分でも意味がよくわからないな、と思った。
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