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「どうして迷ってるの?」
記憶の中の大浦くんは、明るくてわりと皆の中心にいるような人だった。
同窓会も、大浦くんに会いたい人は結構いるんじゃないかな?
「……なんだろうなぁ、高校の時のならたまに会ったりするんだけど、小中時代のは成人式以来でさ……地元にいれば偶然でも会うんだろうけど」
「……あー」
何となくわかる。
「仕事の話とかにもなるだろうし、どうせなら軌道に乗ってから自慢したいじゃん? 皆がタイトル聞いて漫画思い浮かぶくらいに」
「そうだね」
どうせならいい自分を見せたい、うん。
わかる。
「でも、陣内さんが行くなら行ってもいいかな?」
「え?」
さっきの″手″に続き、私をドキッとさせる。
「メアドかライン、交換しない?」
ただの同級生としてのノリなのに、いちいちを私の心臓がときめくのは、
「……いいの? 彼女は?」
「ん? ラインくらい気にしないよ、あ、陣内さんとこはマズイのか」
「……マズくはないよ」
「良かったー、なんか陣内さんは俺の味方的な人だから」
大浦くんをちょっぴり意識していた過去があるからなのかもしれない。
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