1062人が本棚に入れています
本棚に追加
「何、やっぱり純が持ってたの? アレルギーとか分かるの?」
「分かるよ、前に蕁麻疹出た時に調べて貰ったから、はい、先生」
「わあ、お父さん、わざわざスミマセン!」
どこか嬉しそうな保育士にアンケートを渡し、私とひなたに視線を移した大浦くんは軽い会釈をして、
「メイ、ちょっとお父さんとコンビニに行こうか」
何か言いたげな瞳を見せた。
「行く行くーお父さんとコンビニ行く!」
「コンビニ? もう夕飯前にお菓子食べさせるんじゃないよ」
「お菓子買いに行くんじゃねーし、先に帰っててよ」
「とんだ無駄足じゃないか、私」
「朝から今日は俺が迎えに行くって言ってただろ」
「そーだっけ?」
「そーだよ、母さんが忘れっぽいんだよ」
「あの、失礼します、ありがとうございました」
私が保育士に先に挨拶をして、ひたなと園の駐車場に向かうと、ザクザクと砂利を走ってくる足音が追ってきた。
「田丸さん!」
大浦くんの口から初めて聞く呼び名に、足を止めた。
「……は……い」
心臓バクバクで振り向くと、
「学校の側に新しいコンビニが出来てるよ!」
メイちゃんを抱っこして笑う大浦くんの優しい顔がすぐ側にーーー…
そっくりな二人の顔に思わずつられて微笑んでしまった。
最初のコメントを投稿しよう!