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「今日香ー、ひなたちゃんのお風呂、お父さんが済ませたからねー!」
一階から、お母さんの声が聞こえてハッとする。
「……はーい! ありがとう!」
今の生活は、両親のおかけで子育てにも気持ちにも余裕が残せている。
……だから余計な事まで考えてしまうんだ。
どんなに求められても、私の気持ちが再燃してしまっても、大浦くんに奥さんがいる事実は変わらない。
二人が接近すれば、それは間違った行為になる。
ーーあの時の苦しかった思いをまた味わうの?
今度は私が麻友さんの立場でーー?
【学校は眠らない Hiro Okamoto】
ずっと触れる事さえしなくなった大浦くんの作品……。
それを数年ぶりに本棚の奥から取り出して読み、ここで止まってしまった才能の進化を残念に思う。
大浦くんの描く少年は、繊細で、大好きなあの漫画の ″ ヒロシ ″ に似ている。
もう一度、描いて欲しい。
″今日香が近くに、そばに居るって思うだけで、また漫画を描いてみようかなって気持ちになるんだ″
こんな私が、彼の仕事の役に立つのだろうか?
そして、彼のやりきれない気持ちを少しでも楽にしてあげることができるの?
ーーブブブブ♪
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