ポップコーン

7/13
1054人が本棚に入れています
本棚に追加
/290ページ
映画が終わった。 泣きながら席を立つ若い女の子の姿もあった。 ……私は原作のように泣けなかった。 ま、そもそも別のことに意識がいって集中してなかったけどね。 その意識の矛先、隣の席の男を見ると、 「え」 彼も私の事を見ていた。 明るくなった館内、お互いに初めてちゃんと顔を見る。 「どこかで見たことあるんだけど……違ったらスミマセン、同級生じゃないかな?」 その言葉で、いろんな同級生の顔が頭の中を駆け巡った。 見た事あると思ったのは、やっぱり知り合いだったから、 しかも、 「……大浦……くん?」 中学の時、この映画の原作の″ヒロシ″に勝手に似ていると思っていた人。 「そう! 大浦 純!すげっ、わかんの??……え、と、」 凄い偶然だ。地元でもないのに。 「私は、た……あ、旧姓が陣内です」 ーー陣内 今日香 (現在 田丸今日香) あなたがすぐに名前が出てこないのは仕方ない。 とても地味で目立たない生徒だったから。
/290ページ

最初のコメントを投稿しよう!