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「あったかいなぁ……」
家を出た私は、抜けるような青空を見上げて目を細めた。
あれから私は、何度も何度も繰り返し吹雪さんの手紙を読んだ。
一年前吹雪さんは、全ての痕跡を消していってしまったから、今回もいつ消えてしまうかわからなくて、彼がくれた言葉を必死で胸に刻み込もうとした。
今ではもう、空で言えてしまうほどだ。
満開だった桜も今はすっかり散ってしまって、道に落ちていた花びらもいつしか消えてしまっている。
……あの花びらたちは、一体どこに行くんだろう…と、いつも不思議に思っていた。
地面を埋め尽くすぐらいのいっぱいの花びらが、気が付くといつの間にかなくなってしまっている。
土に還るのかな……って、漠然と思ってたけど。
土に還っても、川に流れても……きっとまた、次の春には戻ってくるんだよね……。
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