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君が僕のところに来なくなってからも、日々は変わらず過ぎていきました。
それでも春が来るたびに、僕は君を思い出さずにはいられませんでした。
僕の根元に埋められた宝箱から、君の切なさや悲しみを、受け取っていたからかもしれません。
それから何回か季節が廻ったある日、この学校が閉校して取り壊されるということを知りました。
それとほぼ時を同じくして、僕の体は病に蝕まれ、校舎の取り壊しに合わせて伐採されることが決まりました。
それを知っても、正直仕方がない、という思いしかありませんでした。
新しく旅立つ生徒を見送っては、新しい生徒を迎え入れる。
そうやってずっと見守ってきた子供達を僕のせいで怪我をさせてしまうかもしれないと思うと、とても怖かったし……閉校してしまうなら、もう切られてしまって構わない、と諦めに近い感覚だったように思います。
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