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反芻なんてしたくもないけど、『心境の変化』を説明するには避けては通れない話だし。
温かいカフェモカで一度喉を潤してから、私は昨日の話を順を追って紗羽に語って聞かせた。
話を聞いている間、紗羽は短い返事以外は何も言葉を挟んでこなかったけど、話し終わって私がホッと一息つくと同時に、う~んと難しい顔をして腕を組んだ。
「でもさぁ、それって……ものは考えようかもよ?」
大好きなホワイトチョコレートマカダミアクッキーを噛りながら、私は眉をひそめて紗羽の顔を見返した。
返ってきた反応が予想と少し違っていたからだ。
「ものは考えようって?」
「嘘の内容は確かにありえへんけどさ。好意を寄せられたことをええことに、貢がされたり体だけ求められたりするよりは、スパッと想いを断ち切ってくれて、よかったんちゃうかってこと」
「……………」
「まぁ、傷付くのはわかるけどな。好きになった人にそんなあからさまな嘘つかれたらショックやよなぁ。同じ諦めさせるにしても、他に好きな人がおるとか、彼女がおるとか言われた方がまだ納得もいくよな」
言いたかったことを全て代弁してくれた後で、紗羽もクッキーに手を伸ばした。
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