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すぐに彼氏が欲しいとかそういう訳じゃないけど、男友達とか自然に出来て、少しずつトラウマも改善されて、徐々に恋愛に進めたらいいなー…って。
そんな風に考え始めることができたから。
──── まぁ確かに、半分はあの人のこと吹っ切ろうっていう目的でもあるけど。
「………そっか。わかった」
ふうっと息を吐き出して、紗羽は大きく頷いた。
「ほんなら改めて、時間と場所は連絡するから」
「……うん。ありがとう」
「でもくれぐれも……無理だけはしぃなや?」
前向きになった私に嬉しさ半分、でもトラウマを知っているだけに心配半分、といった様子で紗羽はそう言った。
心から心配してくれている紗羽を見て、女友達っていいなぁ…って思いながら微笑み返す。
「……うん。大丈夫」
答えて私は、窓の外に目を向けながら冷めたカフェモカを口に運んだ。
そこから見えるフェニックス通りの中央分離帯の木の根元には、まだかなりの雪が溶け残っていた。
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