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(……アホやな……吹雪さん。……私は感謝してたのに……)
私はあの桜の木に、感謝してた。
偶然だったかもしれないけど、頭にそれほど衝撃を受けずに済んだのは花びらが山のように積もっていたおかげだし……。
その後、友達と気まずくなってしまった私の、話し相手になってくれた。
当たり前だけど、傷をジロジロ見られることもないし、好きなことだけ話していればよかったから気が楽だった。
───でもそのことで。
私の話をいっぱい聞いてしまったことで、かえって私は吹雪さんに自責の念を抱かせてしまったのかもしれない……。
立って見てるだけで、何もできなかった……。
もっともっと、花びらを散らせてあげたらよかった……って。
それでも吹雪さんは、嬉しかったんだろう。
誰も気に留めていない存在の自分の元へ、毎日通って話しかけてもらえることが……きっと嬉しかったんだろう。
だから……『見つけてくれて、ありがとう』なんだ……。
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